「周防さん……江藤からもう同盟員をやめるという連絡が来ました。おそらく剥離にバレてし
まったのかと」
「……そうか……わかった脱盟を認めると伝えておけ」
「……いいんですか?」
「おそらく修正を受けたのだろう。ならもうこちら側にかかわろうとはしないさ……向こうも
それはわかってるだろう」
「………わかりました」
「それと……江藤に……の薬を届けてあげなさい」
「……の薬ですか?なんでまた?」
「修正のやり方を考えたのは僕と剥離だからね、何をされたかはわかるんだよ。だからこそ…
…ね」
「……はい、わかりました」
側近は……の薬を取りに保健室へと向かった。 生徒会室の中で一人残った周防は携帯を取
り出し画面を開く。
待ちうけ画面は隠し撮りした、瑞樹が蛇口から水を飲んでいるショット…そしてデータフォ
ルダを開くと剥離と周防が肩を組んでいるフォトが画面に出てくる。 ちなみに二人とも鉢巻
をしていて鉢巻には相馬LOVE。 と書いてある。
「馬鹿な奴だ……お前は彼女を崇拝しすぎなんだよ、前のようには戻れないのか……」
そういって彼はしばらく画面を見つめていたが、やがて携帯を閉じると、部屋を静かに出て
行った。 外の桜はすでに大分散っていて、もう麗らかな春は過ぎたということを誰かに伝え
ているようだった……。